
小・中学生向けのプログラミング教室をやっていると「タイピングができないのですが、大丈夫ですか?」と質問されることがあります。
結論からいってしまうと、小・中学生向けのプログラミング学習にタイピングは必須ではありません。
今日は、小・中学生向けプログラミング学習におけるタイピング事情について書いてみたいと思います。
子供にタイピングは難易度が高い
小・中学生の子供に大人と同じキーボードを使ったタイピングを期待するのは難しいです。
小学校低〜中学年は、アルファベットが読めないことも多いですし、ローマ字を学校の授業で学ぶ前なのでわかりません。
そもそもまだ手が小さく、大人用に作られているパソコンのキーボードが使いづらいのです。
小学校高学年〜中学生になると、アルファベットは読めますしローマ字も理解できるようになります。
しかし大人と違って日常的に文章を打つことがない彼らは、タイピング練習を頑張る動機がありません。
個人差はあるものの、タイピングに興味を示さない子が多いです。
昨今、スマホやタブレットの普及によって家にパソコンがない家庭も増えてきました。家でタイピング練習どころかキーボードに触れる機会がないのです。
何かを調べたりするときはフリック入力を使う彼らにとって、タイピングをする必要性を理解して練習することはとても大変なことなのです。
タイピングを前提としない教材の充実
小・中学生向けのプログラミング学習をうたっている教材の大半は、前項のような事情からタイピングができなくても使えるものが多いです。
このブログでも何度も紹介しているプログラミング学習ソフトの「Scratch」は、タイピングができなくてもマウス操作だけでプログラミングをすることができます。
小・中学生向けのプログラミング教室の中には、ロボット作りを通じてプログラミングを学ぶカリキュラムのところもあります。ロボット教室の中にはパソコンを使わない教室もありますので、その場合はタイピングはまったく必要ありません。
タイピングができなくてもアプリもホームページも作れる
冒頭の質問「タイピングができないのですが、大丈夫ですか?」ときかれる保護者さんは、プログラマーが黒い画面にカタカタとひたすらキーボードで文字を打ち込んでいくイメージをもっていらっしゃるのだと思います。そしてそのイメージは間違えてはいません。
しかし、それはあくまで職業としてプログラマーをやっている人のお話。
最近はキーボードでカタカタとやらなくても、マウス操作のドラッグ&ドロップだけでスマホアプリやホームページが作れるツールがあります。
こうきくといかにも簡易的な成果物しかできないんでしょう?と思われるかもしれませんが、業務レベルでもそういったツールが使われている例は既にたくさんあります。
たまに「小学生がアプリを作った!」というニュースを耳にしますが、必ずしも職業プログラマーのようにカタカタとプログラムを書いているわけではなく、そういったツールを上手く活用して作っているケースが大半です。
プログラミング学習はプログラミングではない
仮に小・中学生で上手にタイピングができる子がいたとします。
タイピングが上手にできるので、職業プログラマーが使う業務レベルのプログラミング言語を用いてコーディング(プログラム書き)をやらせたとします。恐らく、かなり高い確率でプログラミングのことが嫌いになります。
実際、私たちの教室ではScratchからプログラミング言語(Python)に移行すると教室をやめてしまう子はいます。
そもそも子供は、職業プログラマーがやるようなプログラミングに面白さを感じることは難しいのです。
本格的なプログラミングというのは、何かしらの課題があり、それを解決するための手段として用いられるものです。
子供が親しみやすいインターフェイスはありませんし、キャラクターが出てくるわけでもありません。
とても地味なもので、子供が興味を示す要素は皆無といってよいほどです。
一般的な小・中学生向けのプログラミング学習は、プログラマーを育てることを必ずしも目的としていません。あくまで教養としてプログラミングを身に付けるのが目的です。
その目的下におけるプログラミング学習とは、プログラミングの地味さから子供の目を逸し、プログラミングの概念や基礎知識をいかに楽しみながら学べるかに注力された教材やカリキュラムを使うのが一般的です。
「プログラミング学習」と「実際のプログラミング」は、別モノといっても過言ではないのです。
タイピングができたとしても、タイピングを使わねばできないようなことに、そもそも子供は興味を示さないのです。
まとめ
小・中学生のプログラミング学習におけるタイピング事情について書いてみました。
いくつかの項目については個人差もあるかと思いますが、プログラミング学習の範囲内ではカナとキーの変換表を見ながらキータイプができれば十分、というのが結論です。
まずはマウス操作などで使える簡単な学習ソフトからステップアップしていき、いつか本格的なプログラミング言語を触って興味を持てた時。
タイピングを練習するのはその時からでも遅くはありません。